大手企業も注目!未来ある「メディカルフィットネス事業モデル」

大手企業も注目!未来ある「メディカルフィットネス事業モデル」

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近年急速な発展を見せるスポーツ・ヘルスケア市場において、大手企業や官公庁などと組んで新規事業開発を手がける株式会社Keep up。その事業を加速させるのが、ドイツのフィットネスマシンメーカー「milon」のトレーニングマシンです。株式会社Keep up 代表取締役の朝倉新氏と、milon総代理店である株式会社アライアンスの荒川毅氏に、メディカルフィットネス事業への企業参入の現状と、将来性についてお聞きしました。

確かなコンサル力で新規事業を開発する株式会社Keep up

 ――御社はどんなビジネスを行っていますか?

朝倉 新(以下、朝倉):私が元プロボクサーであるという経歴を活かして、初めはスポーツ選手のキャスティング業務からスタートしました。15期目を迎えた現在は、スポーツ選手のプロモーションだけではなく、主にスポーツ・ヘルスケア分野の新規事業開発を手がけています。

大手企業や官公庁、弊社が運営するイノベーションオフィス「BIZSPO」にご入居いただいているベンチャー企業などと、商品や販売システムの開発をしたり、PRや企画のコンサルティングをするなど事業は多岐にわたります。

昨今は、ただマーケティングや新サービス開発をしても、本当に効果があるものか実証しないと売れない時代です。そこで、弊社が運営するイノベーションオフィス「BIZSPO」内に、ドイツのフィットネスマシンメーカー「milon(ミロン)」のマシンを配置して実証実験を行っています。

荒川 毅(以下、荒川):milonのマシンは筋力系6種、有酸素系2種の812台を順番に使用することで、運動成果がより期待できるサーキットトレーニングの手法を用いています。そして何より、利用者のトレーニングデータが精緻に取れるのが最大の魅力です。利用者1人ひとりに配布されるICカードに、マシンのポジション設定、負荷(重量)設定、稼働領域設定が記録され、データはクラウド管理ができます。このメディカルフィットネスに特化したトレーニングマシンにより、収集したデータを活用して、新しいスポーツ・ヘルスケア事業を生み出しています。

メディカルフィットネスナビ|大手企業も注目!未来ある「メディカルフィットネス事業モデル」|BIZSPO内のmilonマシン
Keep upが運営するイノベーションオフィス「BIZSPO」内に設置されたmilonのマシン

――お取引先の企業は、どういう業種が多いですか?

朝倉:多種多様です。大手IT企業から交通系企業、機械メーカーなど、今までまったくヘルスケア事業に触れていなかった企業が、どんどん参入しています。「スポーツ・ヘルスケア分野で新規事業を興したいけれど、どこに需要があるか分からない」という声が多いので、弊社で調べて商品やサービスに反映させたり、フィットネス施設の店舗開発に協力したりしています。

複数のプロサッカーチームの新設スタジアムなどでも、milonを活用したビジネスモデルについて協業の話を進めている事例もございます。

他にも、milonのマシンを導入いただいた医療機関とデータ調査を一緒に進めたり、経済産業省、厚生労働省、スポーツ庁などと事業を行ったりしています。自治体の医療費削減のために、ヘルスケアの取得データをどう管理・活用するかといった課題にも取り組んでいます。

 

“病気を治す”から“予防する”へ市場も変化

――病気を治すより予防する、いわゆる“予防市場”が拡大傾向ですが、現在のヘルスケア市場の手ごたえはいかがですか?

朝倉: Appleが「2030年までにヘルスケア市場で売上100兆円を目指す」と掲げているように、海外ではヘルスケア事業へのシフトが加速しています。日本も若干遅れてはいますが、同じ状況です。新型コロナウイルス感染症の影響でいったん低迷しましたが、大きく盛り返すことは間違いないでしょう。

 超高齢社会の日本は、医療費削減が喫緊の課題です。そのためには、1人でも多くの高齢者が健康であることが大切で、フィットネス施設はそこに大きく貢献できます。しかし、従来のようにただ施設を作って利用者を集めるだけでは商売として厳しく、医療的要素を取り入れた「メディカルフィットネス」であり、かつ継続的にビックデータを取得してさまざまな企業とアライアンスを組める企業が生き残ると思います。

メディカルフィットネスナビ|大手企業も注目!未来ある「メディカルフィットネス事業モデル」|対談する朝倉新氏と荒川毅氏
左から)荒川毅 氏、朝倉新 氏

 ――大手企業の参入状況、近年の変化はいかがですか?

朝倉:新規参入が増えていると言えども、まだまだ「メディカルフィットネス」自体をご存知ない企業も多いです。運動データを使った取り組みをしたいと考えても、気軽に取得できるデータは現状、歩数くらいしかなく、自治体と提携して“歩数分だけ地域のお買い物券をプレゼント”などの取り組みをしている所が多いでしょう。

 しかしmilonのマシンを使えば歩数以外のデータ、例えばどんなトレーニングによって肥満の数値が改善したか、サプリメントの体感効果と運動内容・筋力量の相関などのデータが時系列的に分かります。結果的に、その利用者の医療費が運動によってどのくらい下がったかまで可視化できる可能性があります。

 ――202011月に、「次世代ヘルスケアプロジェクト2020」展示会内にて、「第3回メディスポ」を開催されましたが、手応えはいかがですか?

 朝倉:予防医療とスポーツの専門展示会で、昨年は5社に出展いただきました。年々、反応の変化を感じています。以前は、医療機関にメディカルフィットネスの提案をしても「うちは病院なのでお断りです」というご返答が多かったですが、最近は病院事務局や理学療法士の方々から、「フィットネス施設の新規オープンで、測定器を探しています」など、具体的なご相談を受けています。

 

健康データ取得によるフィットネス施設運営へのメリット

――継続的にデータを取得できることは、フィットネス施設の運営にどんな利点がありますか?

朝倉:まず1つ、入会者がある程度確保できる点です。例えば介護施設であれば、milonのマシンを導入していることで、運動が必要な高齢者の受け入れ先に指定されるケースがあります。

 そしてもう1つは、退会者が減ることです。例えば九州にある施設では、コロナ禍にも関わらず退会者数ゼロです。なぜなら、利用者は自分の運動データを施設に預けて、そこで適切な指導を受けられるから。退会したり、milonのマシンを導入していない施設へ移ったりしたら、このサービスを受けられなくなってしまいます。

施設スタッフも各利用者のトレーニング内容が把握できるので、コミュニケーションを取りやすいです。例えば、マシンの負荷が急に下がっていたら「足を痛めたんですか?」などの声かけができる。親身なコミュニケーションも、退会率を抑える要因の1つです。

メディカルフィットネスナビ|大手企業も注目!未来ある「メディカルフィットネス事業モデル」|milonマシンを実践する荒川毅氏
milonのマシンを実演してくれる荒川氏

――milonのマシンを導入するにあたり、スタッフ育成はどのようにすれば良いでしょう?

朝倉:医療機関であれば、理学療法士さんが比較的スムーズに使っていますが、専門職の方がいない所では、人材育成の必要があります。そこで、本国ドイツでは長い歴史がある「milonアカデミー」を、日本でも2021年から開催します。トレーニングノウハウやコミュニケーションの取り方などを伝えていきます。

――マシン設置に必要な施設面積や、黒字化の目安を教えてください。

朝倉:マシンを置くスペースは1520坪、コンビニくらいの面積があれば可能です。施設によりますが利用者が350400人ほどになれば単月黒字が見込め、初期投資も35年くらいで回収できる計算なので、参入ハードルがそれほど高くない点が特徴です。

 

健診、運動、食事…データ集約でヘルスケアは新時代へ

 ――今後、御社はメディカルフィットネスにおいて、どんな新サービスをお考えですか?

朝倉:運動に限らず、食事や日常生活の記録も確認できるアプリ「milon ME +(ミロン ミー プラス)」の導入です。

荒川:もともと、トレーニング記録追跡アプリ「milon ME(ミロン ミー)」があります。これに、食事時間やメニュー、栄養、血圧、体組成、家事や散歩の運動量など、さまざまなデバイスデータやアプリデータをつなげることで、トータル的なデータ収集・分析ができます。2021年中にリリース予定です。

例えば、医師が「血圧と運動量と食事の相関関係を調べたい」と思えば、多様なデータの中から、必要な項目だけ抽出できます。今後、収集データ量が増えれば、データ分析精度も上がります。“トータルヘルスケアプロジェクト”とも言えますね。ゆくゆくは、緯度経度や湿度など環境データも入れる予定です。

メディカルフィットネスナビ|大手企業も注目!未来ある「メディカルフィットネス事業モデル」|milonマシンのデータを表示する荒川毅氏
腕の動きがブレていないか、モニターで確認しながらトレーニングができる

――メディカルフィットネス事業の発展に必要なことは何でしょう。 

朝倉:まずは民間企業と提携して、継続的にデータを取得していくことだと思います。自治体と連携した場合は、せっかく良い結果が出ても次年度に予算が確保できないと、事業が打ち切られることもあるためです。蓄積データが増えたら自治体と実証実験をして、地域性も加味しながら事業を進める。事業を継続することで、医療費削減などにつながると思います。

国際競争が激しくなる中、超高齢社会の健康ビッグデータは、日本にしか出せないのではないでしょうか。国内でデータやサービスの基盤を作れれば、超高齢社会のモデルとして海外に提供できる可能性もあります。

――荒川様は、milonの総代理店として今後の展望をどうお考えですか。

荒川:近年は、あらゆる企業・団体がヘルスケアに参入していますが、「市場の捉え方や手法を改善したら、もっとそのノウハウが活かせるのに」と感じることがあります。日本には優れた技術を持つ企業がたくさんあるので、先ほどの「milon ME +」のように、さまざまな企業をつなげて、もっと良いサービスを作っていきたいです。

また、milon自体はドイツからの輸入ですが、データの活用方法や社会貢献モデルなど、システムを日本でバージョンアップさせて海外に輸出したいです。 ドイツのmilon本社においても、日本は非常に重要な国と位置づけされています。

メディカルフィットネスナビ|大手企業も注目!未来ある「メディカルフィットネス事業モデル」|朝倉新氏とmilonマシン
スポーツ・ヘルスケア市場の新たな可能性を語ってくれた朝倉氏

――読者の方にメッセージをお願いします。

朝倉:ヘルスケア分野で新規事業にトライしたくても、「何をやったらいいか分からない」という方が多いかと思いますが、市場の伸びが期待できるメディカルフィットネスは、まさにこれから始めるのに適していると思います。情報をしっかりキャッチして、未来を想定した施設づくりをすることが大切ではないでしょうか。

 

イベントお知らせ

2021年318日(木)10001800BIZSPO内にて「スポーツヘルスケアONEデイ2021」が開催されます。milonのマシンはじめ、スポーツヘルスケアに関するさまざまなサービスや事例をご紹介予定です。ぜひ足をお運びください。詳細はこちら

株式会社Keep up
株式会社アライアンス

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