【事例】岩手県矢巾町 メディカルフィットネスジムウェルベース矢巾

【事例】岩手県矢巾町 メディカルフィットネスジムウェルベース矢巾

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少子高齢社会が加速している地方自治体にとって、生活習慣病予防や医療費削減、高齢者のコミュニティ創生は重要な課題となっています。これらの解決策として、行政が主体となったメディカルフィットネス施設が注目を集めています。今回は、全国に先駆けて“持続可能なメディカルフィットネスジム”をコンセプトに掲げて自治体が運営する、メディカルフィットネスジムウェルベース矢巾(岩手県矢巾町)の事例をご紹介します。

施設の特徴

メディカルフィットネスジムウェルベース矢巾は、矢巾町に関わるすべての人に、ヘルスケアに関する正しい知識と適切な運動方法、真の健康を届けたいという想いで、日本で初めて産学官連携のもと運営しているメディカルフィットネス施設です。施設は岩手医科大学附属病院の敷地内にあり、当メディアの関連会社 株式会社ドリームゲートが委託を受けて運営しています。

 

事例_岩手県矢巾町_ウェルベース矢巾_矢巾町

 

従来型の、行政のみが運営する運動施設の場合、指定管理者制度により年間予算は行政が支出し、運営は指定管理業者が行います。しかし、そのモデルゆえに人材の指導力不足や積極的な企画の立案不足、行政の年間予算のみに頼りきった事業モデルなる傾向にあり、様々な課題が生じているのが現状です。

しかしウェルベース矢巾は、民間組織、大学、行政の産学官がそれぞれの強みを生かした役割を担い、町の未来を引っ張っていく施設として持続可能な事業モデルの構築に力を入れました矢巾町岩手医科大学日本調剤株式会社テクノジム ジャパン株式会社株式会社タニタヘルスリンク株式会社ドリームゲートの6者が「矢巾町健康増進施策事業の連携・協力に関する包括協定」を締結し、メディカルフィットネスジムを拠点とした町民の健康づくりの見える化と運動習慣の定着化を図る取り組みです。
※包括協定に関して、株式会社ドリームゲートが各組織のコーディネート的な役割も担っています

 「ウェルベース矢巾」の名前は、Wellness(健康)Base(拠点)という言葉を合わせ、矢巾町の健康発信基地になるという想いを込めて付けられました。

 

事例_岩手県矢巾町_ウェルベース矢巾_エントランス

 

 新型コロナウイルス感染症の流行と同時期での開業だったため、グランドオープン後2日で臨時休業を余儀なくさるなど、決してタイミングが良いとは言えない中の開業でしたが、順調に会員数が増え、開業後3ヶ月で損益分岐点を超えたとのことです。

 現在では、「ウェルベース矢巾に行くことが日課になっている」、「身体に変化が出てきて嬉しい」とおっしゃる会員様も多く、顧客満足度の高い順調な運営が実現できているそうです。各メディアから度々取材を受けるなど、注目度の高い施設となっています。

 地方自治体と民間組織との連携による運営では、現地での人材雇用も大きなテーマとなり得ると考えます。雇用を生み、人材を育て、十分な報酬を支払うことを実現させるには、自治体事業に民間組織が関わることで、その効果が得られるケースがあります。また、地域おこし協力隊がこの事業に関わることで、行政・住民・民間組織の橋渡し存在となり、事業をさらに円滑にすすめることができます。

事例_岩手県矢巾町_矢巾スキーム図

 

フィットネス機器について

フィットネス機器は、イタリアのテクノジム社製のものを導入しており、会員様が自身の運動履歴データを取得できる機能が備わっています。トレッドミルなどの有酸素機器が13台、チェストプレスのようなストレングス機器が6台、その他フリーウェイトトレーニングも可能な機器を揃っています。ファンクショナルエリアには人工芝が敷かれ、ストレッチやパーソナルトレーニングなどができるようになっています。高齢者や体力に自信のない方でも安心して使えるように、介護施設などでも使用されているパワープレートやキネシスも配置されています。

 ジムの奥にあるスタジオでは、ヨガやピラティスなど目的に合わせた多様なレッスンを受講できるため、飽きることなく運動を続けて習慣づけられる工夫もされています。

 

事例_岩手県矢巾町_矢巾レイアウト図

 

事例_岩手県矢巾町_ウェルベース矢巾_フィットネスマシン

 

会員種別、サービスの特徴について

ウェルベース矢巾は、これまで運動をしたことがない方や体力に自信のない方、高齢者にも利用しやすい施設です。年齢による細かいターゲティングはせずに、初心者に優しい施設、運動することが楽しくなるような施設を目指して内装やデザインにもこだわっています。

 男女比は4:6の割合で女性が多く、年齢層は多い順に50代、60代、40代となっており、会員全体の半数以上を占めています。80代でジムデビュ−をしたという方も多いようで、医療との連携により安心感を提供しているメディカルフィットネス施設ならではの年齢層となっています。

 会員種別は以下の通りです。

会員種別

月会費

フリー会員(町民以外の一般会員)

8,000

チャレンジ会員(町民かつ健康チャレンジ参加者)

5,000

ウェルネス会員(町民かつ健康チャレンジ不参加者)

6,000

メディカル会員

1回のパーソナルトレーニングとカウンセリング付き

10,000(町民外)

8,000(健康チャレンジ不参加)

7,000(健康チャレンジ参加者)

学生会員

4,000

法人会員

150,000円(矢巾町以外の企業)

120,000円(矢巾町の企業)

入会金:一律5,000円(運動履歴が取得できるウェルネスバンド代を含む)
事務手数料:一律2,000

 「健康チャレンジ」とは、矢巾町が健康促進のために株式会社タニタヘルスリンクと取り組んでいる、矢巾町民を対象とした別事業です。町民は参加費を支払うと活動量計が配布されるので、歩数や血圧などを随時計測できます。計測データは自動送信でポイント化され、ポイントに応じて抽選でプレゼントが当たる仕組みです。健康チャレンジ参加者はウェルベース矢巾の月会費が安くなるよう設定しており、健康チャレンジ事業の認知と参加者数アップにもつながっています。

 

事例_岩手県矢巾町_ウェルベース矢巾_ウェルネスシステム

 

 すべての会員種別において、ジムエリアとスタジオレッスンの利用は無制限です。また、入会時に配布されるウェルネスバンドにより、運動履歴が記録され、アプリや施設からのレポートでどんな運動をどれだけ行っているか確認ができます。

 スタジオレッスンは、専門のインストラクターがヨガやピラティスなど多様なプログラムを行っています。以下はレッスンの一例です。

・はじめてヨガ
・健康太極拳
・すっきりピラティス
TRX
・リラクゼーションヨガ
・美尻ワークアウト  など

 

事例_岩手県矢巾町_ウェルベース矢巾_スタジオ

 

また、新型コロナウイルス感染症予防における三密回避のため、遊休スペースのある公民館などをサテライトスタジオとして活用しており、こちらも会費内で利用することができます。今後さらに会員数が増えた際もウェルベース矢巾を拠点としながら公民館などを活用することで、町保有施設の活用にもつながります。

 

 

開業のメリットについて

コミュニティの形成

地域の健康づくりの拠点という役割はもちろんですが、シニア層のコミュニティの役割も担っており、自治体運用のモデルとして理想的な施設になってきました。また、これまで町単体で行っていた健康チャレンジの取り組みも、PR不足による参加者数の伸び悩みが課題でしたが、ウェルベース矢巾自体のPRや、健康チャレンジ参加者にメリットがある料金体系を作ったことにより、ジム会員数に比例して増加しました。

収益化とサービス向上

ウェルベース矢巾の平均客単価は約6,000円と、自治体の施設としては比較的高額です。しかし、それ以上の価値とサービスを提供するという意識のもと企画運営がなされてることで、目標の会員数を確保できていると考えられます。

 地方自治体における事業でもしっかりと収益を上げることができれば、行政の予算に頼らない持続可能な運営や、そこで働くスタッフの待遇改善も実現できる可能性があります。さらに、日常的な運動習慣を持つ住民が少しでも増えれば医療費の削減につながり、財政の改善も期待できます。

ブランド戦略によるPR

通常、行政の施設はデザイン的にもシンプルなものが多い傾向にありますが、ウェルベース矢巾では、構想段階からネーミング、内装デザイン、スタッフユニフォームデザイン、チラシデザインなどにこだわりブランド戦略が取り入れられています。また会員数増のためにWEBマーケティングについても考えられています。

 その結果、年齢問わず多くの方がウェルベース矢巾に通うことを楽しみにして、日々生き生きと運動しているそうです。平均年齢20代半ばの若い地元スタッフを採用できたことも、ブランド戦略の賜物だといえるでしょう。

イベント開催

ウェルベース矢巾は単なる運動施設ではなく町全体の健康発信基地として、施設外でのイベントにも力を入れています。

 矢巾町と共催した青空ヨガは、矢巾町の住民であれば誰でも無料で参加することができ、ピンクリボン運動への募金活動も行っています。住民の方が運動に触れられる機会をたくさん作り、どんな方も安心して日常的に運動できるようなイベントを企画できることも、民間組織が介入するメリットです。

 

事例_岩手県矢巾町_ウェルベース矢巾_サポート

 

まとめ

ウェルベース矢巾は、日本で初めての産学官連携メディカルフィットネス施設として、そのメリットを存分に活用した施設運営ができていると言えます。医療費削減を目指すだけでなく、施設自体が収益化できることで、相応のホスピタリティをもったサービスや指導を住民に提供することも可能です。行政の施設にはなかった「収益化」という発想は、町のためにも、利用者のためにも、そして運営する事業者のためにもとても大事なものだと捉えられます。

持続可能なメディカルフィットネスで生活習慣病予防、医療費削減、地方創生を行いたい方はぜひ、産学官(官民)連携の事業モデルに目を向けてみてください。
下記にウェルベース矢巾が取り上げられた記事です。ご参照ください。

日経BP 総合研究所運営「新・公民連携最前線」
医大敷地に薬局とジム、三者の空間が町を変える ウェルベース矢巾が目指す「健康」を核にしたまちづくり

 
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