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2024.08.30
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少子高齢化が急速に進んでいる今、医療費の削減や介護予防、健康寿命の延伸のための取り組みは地方自治体の重要な課題となっています。そんな中、新たに注目されているのが、自治体が主体となり運営するメディカルフィットネスです。今回は自治体がメディカルフィットネスを運営する意義やその方法などをご紹介します。
メディカルフィットネスは生活習慣病予防や介護予防の意味合いが強く、また、医療機関との連携や専門知識のある有資格者(健康運動指導士や理学療法士など)の指導により、運動に慣れていない方や高齢者の方も安心してトレーニングができるフィットネスです。
医療費や介護費を削減したい自治体にとって、幅広い年齢層に日常的な運動を促すことは非常に重要なことですが、これまでの自治体運営の運動施設はトレーニングマシンだけが置いてあるような効率重視のトレーニングジムが多く、初心者向けの運動指導が不足していたため実際の利用者層は限られていました。
通常のフィットネスクラブではなく、医療と連携したメディカルフィットネスを自治体が運営することにより、これまで積極的にジムなどで運動をしたことがない方、体力に自信のない方、高齢の方などが安心して利用できるようになり、自治体としての一番の目的である医療費や介護費の削減を視野に入れる事ができます。
更に、高齢者の孤独化が問題となっている今、メディカルフィットネス施設は地域のコミュニティとしての役割も担います。
からだを動かしながら友達を作っていただいたり、イベントに参加していただいたりすることにより、メディカルフィットネス施設を中心に地域で高齢者を見守る体制につなげることができます。
地方自治体が委託した民間企業が、指定管理で運営するトレーニングジムはこれまでも多く存在してきました。しかし、地方自治体が定めた事業モデルのなかで決められた予算内に収めつつ、受託業者が利益を取るというモデルであるために、人件費を削った、運動指導に弱いフィットネスクラブが増えてしまいました。
人件費を削ったジムということは、トレーニングマシンや温泉などの設備は揃っていたとしても、丁寧に運動指導をするトレーナーが充実しているとは言えず、結果として自分から積極的に運動できる層が主たる利用者となります。
また、広告にかけられる予算も限られる中でPR施策も不十分なために、思いのほか地域住民の認知度が低いというようなケースも少なくありません。
より幅広い年齢層の地域住民に対して、運動による健康増進、疾病予防という目的を達成するためには、運動が苦手だったり、体力に自信のない住民が利用できるようにする必要があります。且つ、事業としても持続可能な収益モデルにすることが必要になってきます。
そこで今注目されているのが地方自治体と民間企業が連携したメディカルフィットネスです。
自治体がメディカルフィットネスの構想段階から、専門領域に特化した民間企業と連携をすることで、集客力もあり、ターゲット層も明確になった質の高いサービスを提供できるメディカルフィットネスを立ち上げ・運営する事ができます。民間企業は1社に限らず、様々な専門性を有する企業と連携することにより、集客の窓口も増え相乗効果も増します。民間企業は、運動指導や集客などで力を発揮し、地方自治体は場所の提供や広報誌などからのPR、健康増進事業との連携などそれぞれの強みを生かすことができます。
既存の健康増進の取り組みと連携し、その窓口をメディカルフィットネス施設で担う事ができれば、施設だけでなく自治体としての健康増進の取り組みの参加者も増えて一石二鳥です。
岩手県矢巾町では、自治体と民間業者、教育機関が連携したメディカルフィットネスジム、ウェルベース矢巾を2020年3月に開業しました。
岩手医科大学、世界を代表するマシンメーカーで、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のオフィシャルサプライヤーでもあるテクノジムジャパン(株)、健康サービス事業を展開する(株)タニタヘルスリンク、調剤薬局大手 日本調剤(株)、メディカルフィットネスコンサルティング企業の(株)ドリームゲートといった専門的な各分野の民間企業5社と矢巾町が協力し完成した施設であり、産学官がコラボした全国初のメディカルフィットネスジムとして注目を集めています。
従来の地方自治体が運営するトレーニングジムに比べると利用料は高いにも関わらず、これまで全く運動をしたことのない方や80代の高齢の方など、幅広い属性の会員が継続的に運動を行っています。更に、矢巾町が以前から取り組んでいた健康増進の取り組みの利用者も大幅に増え、地方自治体と民間業者が連携したメディカルフィットネスの利点を感じる事例となっています。
メディカルフィットネスでは通常のトレーニングジムと違い、より安心で安全かつ効率的な運動指導が求められます。その中でぜひ取り入れていただきたいのが、運動データの取得です。一部のフィットネスマシンでは、トレーニングデータの履歴を取得することが出来ます。
例えば、イタリアのフィットネスマシンメーカー、テクノジム社の製品では、有酸素運動であれば走った距離、消費したカロリー、ストレングス系の運動であれば負荷の重量や回数、セット数までその方がいつ、どんな運動をどれだけ行ったか詳細なデータを取得することができます。これにより、会員の運動量を体組成データなどとともにトレーナーが把握しながら、無理のない範囲でその方の体調や体質、運動の目的に応じた運動指導が可能です。
自治体としては、どのような属性の利用者の方が、いつどれだけ運動して何が変わったのかというデータを取ることができ、医療費や介護保険費削減についての評価も、より詳しい細分化したデータを元に検証することが可能になります。
地方自治体が運営するメディカルフィットネスは、今後の日本社会に必要不可欠なものになるでしょう。地域住民の健康増進が目的であればその目的をしっかり叶えられるような仕組みづくりが重要です。そのためには、予算先行型での業務委託ではなく、メディカルフィットネスを民間業者と連携して事業として成立させていくという事業モデルは、一つの選択肢ではないでしょうか。
健康維持増進のために、より運動する必要があるこれまで積極的に運動をしていない方や、体力に自信の無い方も安心して運動ができるメディカルフィットネスが実現し、更に自治体の健康増進事業との連携ができれば、自治体にとっても地域住民にとっても理想的な施設となるのではないでしょうか。
メディカルフィットネスナビでは、地方自治体が新たにメディカルフィットネスを立ち上げる際の事業作りや、実際の運営、さらに各民間企業、教育機関などとの連携を幅広くサポートが可能です。地域課題を解決するサポートに興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
メディカルフィットネス施設の開業・運営を徹底サポート
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