株式会社ドリームゲート村上氏インタビュー~今こそ必要になったメディカルフィットネス~

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当メディア「メディカルフィットネスナビ(メディナビ)」を運営するジードジャパン株式会社の関連会社である株式会社ドリームゲートで代表取締役を務める村上氏は、メディカルフィットネス開業コンサルタントとして、山形県にある医療法人徳洲会 メディカルフィットネス+スパ ラ・ヴィータをはじめとした様々なメディカルフィットネス施設の開業に15年以上携わっておられます。 村上氏が開業に関わるメディカルフィットネス施設はほとんどが黒字化に成功しており、現在も病院や診療所だけでなく、自治体や企業のメディカルフィットネス施設の開業支援、運営支援を精力的に行っています。 今回は村上氏に、メディカルフィットネスに関する考えを聞きました。

村上勇(むらかみ・いさむ)氏 プロフィール

2007年、医療法人徳洲会にて徳洲会グループ初のメディカルフィットネス施設「ラ・ヴィータ」を立ち上げる。施設立ち上げのゼネラルマネージャーとして、開業時には大手フィットネスクラブに並ぶ3,000人超の会員数を集める。全国でも数少ないメディカルフィットネスの成功事例として注目され、多くのメディアにも紹介される

メディカルフィットネス施設の開設や、介護予防を目的とした運動特化型のデイサービス開設のコンサルティング、また学校体育や競技スポーツにおける運動指導、マネジメントなど多岐にわたって全国で活動中 。    

株式会社ドリームゲートのホームページ 

 

メディカルフィットネスナビ_ドリームゲート社長村上氏の講演風景

 

村上勇氏インタビュー

なぜメディカルフィットネス施設の開業支援に携わるようになったのですか?

メディカルフィットネスという言葉が出てきたのは15年ほど前からですが、私はそれ以前から、医療と運動の結びつきは重要だと思っていました。

運動に怪我はつきものです。スポーツ選手が怪我をしやすい肩・腰・膝などは、高齢者が痛みを訴えることが多い箇所でもあります。「メディカル」と「フィットネス」が結びつくことによって、より多くの方に正しい運動と正しい知識を身につけていただくことができるのではないかと考えています。

しかし、これまでの日本では医療と運動は別の分野とされている状況であったと感じられます。これからの日本のために必要なメディカルフィットネスという考えを啓蒙していき、健康寿命の延伸、医療費削減のみならず、障害予防や介護予防といった健康課題解決のために貢献していきたいと思い、メディカルフィットネス施設の開業支援を続けています。

日本は、病院数が世界で一番多いと聞きました

厚生労働省の医療施設動態調査によると、令和元年5月末時点で、日本には病院が8,000件以上、一般診療所は100,000件以上存在します。

日本の病院数は世界1位です。2位のアメリカの病院数が6,000件程度であることを考えると、日本の病院数は非常に多いと言えるでしょう。

さらに民間の病院が7割ほどを占め、公立の病院が少ないことも日本の特徴です。

病院が多いことは医療の手厚さにも繋がりますが、良い点ばかりではありません。医師や看護師といった人材的なリソースが分散されることで人員が不足している病院が増え、緊急時に対応できなくなることで医療崩壊につながるリスクも抱えています。

参照データ
※GROBAL NOTE世界の病院数 国別ランキング・推移(2018年)

日本のフィットネス人口について教えてください

2018年の日本の人口は12,644万人です。※1

同年のフィットネスクラブ会員数は514万人のため、フィットネスジムやスポーツクラブに通っている、フィットネス参加率は4%程度であることが分かります。※2

他国のフィットネス参加率はアメリカが20.8%、イギリスが14.9%であることを考えると、日本のフィットネス参加率は先進国の中ではかなり少ないと言えるでしょう。※2

一方、日本のフィットネス参加者の単価は高く、一人につき毎月8,000円程度をフィットネス施設に支払っている計算になります。※2
イギリスの客単価は月に6,000円ほど、アメリカの客単価は月に4,000円前後と考えると、日本では少ないフィットネス人口が多くの費用を支払っていることが分かります。
この数字は30年近く変わっておらず、このままでは本当に運動を必要とする人たちにはアプローチできないと考えています。

余談ですが、単純に月会費と言っても施設の利用料(運動する場所を利用するための費用)と、運動を教えてもらう指導料がひとくくりになっていることも問題かと思われます。
利用料は安く、スタジオレッスンやパーソナルレッスンにはしっかりと指導料を支払うといった考え方と、スタジオレッスン等で指導も受けられることも含まれた月会費という考え方があれば、現在の日本のフィットネス施設の単価も納得できる金額なのではないでしょうか。

参照データ
※1 総務省 人口推計(2018年)
※2 Fitness Business  日・米・英の民間フィットネスクラブ産業市場データ (2018年)

メディカルとフィットネスが結びつくことでの具体的な利点はなんでしょうか

スポーツのパフォーマンスアップのための運動や、健康維持増進のための運動など、医療と健康を合わせて考えることが重要だと思います。特に、自分で積極的に運動を行っていない方には、生活習慣病予防やフレイル予防のために、医学的エビデンスのある運動が必要です。

国民の健康増進、予防医療のためには、医療機関の提携は不可欠だと思います。日本の医療機関の多さを活かし、フィットネスクラブと提携することで、正しい運動をする場が増やせると思います。

これにより、現在は34%に留まっている日本のフィットネス人口を増やしていくことも可能だと考えています。

メディカルフィットネスナビ_メディカルとフィットネスが結びつくことでの具体的な利点のイメージ
 

医療機関がメディカルフィットネスを導入する意義について教えてください

医療機関の医師の方々がそれぞれの分野の知見をもって、病院や診療所の運営だけでなく運動施設の運営にも参画していただくことで、日本の医療費の削減につながり、医療崩壊が近づいている現状を打破する手段になるのではないでしょうか。

医療法人がメディカルフィットネス施設を運営するためには、医療法第42条施設としての申請が必須です。厚生労働大臣認定 健康運動増進施設・厚生労働省指定 指定運動療法施設の認定・指定に関しては医療機関と連携すれば運営母体を問わず取得できるため、他業種と医療機関の連携もできるのです。

健康運動増進施設・指定運動療法施設の認定・指定を受けるためには様々な基準をクリアしなくてはならず、調査から認定までは3ヶ月程度、双方の認定が完了するには申請資料を準備するための時間も考慮すると1年程度かかることが多いです。

また、指定運動療法施設では、医師の指示による運動療法を実施する際に必要な施設利用料を、所得税法第73条に定める医療費控除の対象とすることもできます。これによって、利用者の施設利用料を抑えることも可能なのです。

 医療法第42条施設や厚生労働大臣認定 健康運動増進施設・厚生労働省指定 指定運動療法施設 などが医学的エビデンスを基にした正しい知識と運動を提供していくことで、人々の健康意識を上げていくこともできると思います。

 以上のように、医療機関がメディカルフィットネスを導入することは、利用者の目線からも使いやすい施設になるだけではなく、他業種と医療機関の連携ができ、社会問題の解決に大いに意義があると思います。

 

※詳しくは「メディカルフィットネスナビ|健康増進施設・医療法42条施設について」をご参照ください。

 

メディカルフィットネスとリハビリの関係は?

メディカルフィットネス施設では、リハビリテーションに悩む方の手助けもできると考えています。

医療機関で受けられるリハビリテーションには日数制限があり、満足のいくリハビリテーションを受ける前に打ち切られてしまうことがあります。こうした人たちのことを『リハビリ難民』と呼ぶこともあります。医療機関でのリハビリが終了した方も受け入れることができるのは、メディカルフィットネス施設の利点だと言えます。 

リハビリテーション期間が終わった後も、これから先の生活の中で怪我をしない体作りや、病気にならないための免疫力を上げる運動を続けることで、生活の質をさらに上げて維持できます。

怪我や介護、病気の予防運動を定期的に、継続的に提供できるところが、メディカルフィットネスの強みです。

 

メディカルフィットネスナビの取材_メディカルフィットネスについて語る株式会社ドリームゲート村上勇社長

 

新型コロナウィルスの感染が拡大していますが、メディカルフィットネス施設の役割は何だと思いますか?

コロナ禍では、これまで以上に免疫力や抵抗力のある体づくりが大切になり、そのためには運動は不可欠であると考えます。

健康に対する意識が上がっていくことで、運動初心者のフィットネスクラブへの関心が高まることが予想されますが、既存の24時間型のフィットネスクラブなどではそうした方への運動が十分提供できていないのではないでしょうか。

運動初心者だけでなく、基礎疾患を抱えた方々などが安心して運動するためには、医学的エビデンスに基づく運動指導の知識を持つスタッフのサポートがある環境が大切だと思います。

メディカルフィットネス施設では医療従事者などのサポートを受けられます。他にも公益財団法人健康体力づくり事業財団認定の健康運動指導士や健康運動実践指導者、公益財団法人日本健康スポーツ連盟認定の生涯スポーツトレーナー制度などの専門知識のあるインストラクターやトレーナーから正しい知識や運動を教わることができます。医療機関による協力体制の下、正しい知識と正しい運動を学び、身につけていただくことがメディカルフィットネス施設の役割だと思います。また、医療機関との提携をするメディカルフィットネス施設だからこそ、より専門的な知識で感染症予防対策を取ることもできます。

運動初心者が安心して行けるフィットネス施設は多くありません。しかし日本に多くある医療機関とフィットネス施設が提携することで、運動初心者であっても安全で効果的な運動を提供する素地はあるはずです。運動の経験値や世代を制限することなく、誰もが正しい知識と正しい運動を安心して学べる空間づくりを求めている人は非常に多いと感じています。そうした需要に応えることが、メディカルフィットネスの役割ではないでしょうか。

――――――――

「メディカルフィットネスは今こそ日本にマッチしてきた」と語る村上氏。
今の日本では運動を必要としている人や運動初心者にとって正しい運動をできる場は少ないですが、病院数が世界一であることを活かしメディカルフィットネス施設を増やす素地はあるのだと思います。
国の課題である健康寿命の延伸や医療費削減にも大切な取り組みであり、国民の健康増進、予防医療においてメディカルフィットネス施設が担う役割は非常に大きいものだと感じました。

 

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