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2024.08.30
このような方におすすめ 主な対象施設 厚生労働大臣認定 健康増進施設、厚生労働省指定 指定運動療法施設、医療機関、医療法42条施設、メディカルフィ…
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静岡県焼津市にあるメディカルフィットネス施設「ペガフィット」。同市内で「おおとも接骨院 西小川院、小土院」の2店舗を展開する「大友メディカル」が運営しています。厚生労働大臣認定「健康増進施設」、厚生労働省指定「指定運動療法施設」を取得し、令和4年8月のオープン以来、地域の医療機関と積極的に協力関係を築いています。代表取締役社長の大友康広氏と、小土院院長兼ペガフィット店長の髙𣘺以利子氏に、開業から現在に至るまでの経緯、医療機関とのスムーズな連携方法、現在の課題などを聞きました。
Contents
大友:接骨院では基本的に、施術をして問題の箇所が治ればその患者さんは通院を終えます。ところが、筋力が落ちているため、時間が経ってからまた不調が生じて再来院されることがよくあります。そういうケースを数多く見てきたからこそ、「長期にわたって筋肉もケアできないか」と感じていました。
また今の時代、接骨院だけの経営で順調でも、5年、10年先はどうなっているか分かりません。ビジネスの柱を増やし、他院との差別化を図ることで安定が見込めるかもしれない。そこで、接骨院のスタッフたちが小規模のテナントを借りて、患者さん向けに体幹トレーニングレッスンを実施してくれていましたが、このままで良いのだろうかと悩む日々を送っていました。
そんなある日、総合展示会「SPORTEC」で「メディカルフィットネスナビ」の運営会社である株式会社ドリームゲートの代表・村上勇さんの講演を聞いて、私の思いに非常に近いものを感じ、すぐに同社のブースを訪れて事業立ち上げの話を進めました。
左から)大友康広氏、株式会社ドリームゲート代表取締役・村上勇
予算などさまざまな問題が浮上、新型コロナという予期せぬ事態にも直面し、計画はなかなか進みませんでした。しかし、ドリームゲートのサポートもあり、難しいと言われていた「事業再構築補助金」の申請が通ったことで一気に進み、足掛け4〜5年で「メディカルフィットネス ペガフィット」開業にこぎ着けました。
大友:立ち上げ段階で特に悩んだのが、「場所」「人」「提携医療機関」でした。
まず「場所」ですが、現在は要件が緩和(※)されていますが、当時はトレーニング・運動フロアとして150平米以上の広さが必要でした。広くて立地条件の良い場所を探していたところ、接骨院に通ってくださっていた患者さんの伝手で、この場所を紹介していただきました。私はもともと接骨院を1店舗運営していましたが、メディカルフィットネス施設に併設させる形で2店舗目もオープンしました。
(※)厚生労働大臣認定「健康増進施設」の認定規定が2022年4月1日より変更されました|メディカルフィットネス記事|メディカルフィットネスナビ
「ペガフィット」外観 「おおとも接骨院 小土院」と併設しています
「人」は、主にスタジオレッスンのトレーナーの確保です。フィットネス施設を運営するなら集客面においても、ヨガなどのスタジオレッスンはぜひ入れたいところ。しかし私たちは接骨院での施術対応があるので、なかなかレッスンを持てません。そんな中、たまたまスタッフが通っていたジムのトレーナーさんが、私たちのところでも働いてくれることになりました。
「提携医療機関」についても、初めはどうしようかと悩みましたが、私がかつて働いていた病院で同僚だった先生が、現在はそちらの副院長を務めているので協力をお願いしました。他にも、友人の先輩の病院、接骨院の患者さんが携わっている病院、患者さんのかかりつけ医…ありがたいことに、皆さんとのご縁で協力いただくことができました。
焼津で20年近く接骨院を経営してきたので、ある意味“下地”ができていた。「これまで培ってきた人間関係がペガフィットを作り上げた」と言っても良いかもしれません。
大友:オープン以来、接骨院の患者さんや元患者さんを中心に多くの方が来てくださり、会員数は大幅に増えました。今でこそ運営基盤が整っていますが、初めは失敗だらけでした(苦笑)。
例えば、スタジオレッスンには会員さんが集まるけれど、せっかく導入したマシンが全然使われていない、など。マシンは、テクノジム社の「バイオサーキット」シリーズを採用しました。AIが自動で、1人ひとりに合わせたマシン設定、プログラムの実施をしてくれます。コロナ禍だったこともあり、スタッフを介さず運動を進められる点に魅力を感じました。
髙𣘺:バイオサーキットは使用するマシン、順番、運動内容、時間をすべてAIが決めてその通りにやる必要があるので、好きなマシンだけを使って運動が偏ったり、1人がマシンを独占したりする心配がありません。
ペガフィットの会員さんはご高齢の方も多いことから、トレーニングマシンに馴染みがなかったり、楽しく会話しながらスタジオレッスンを受けたいというご要望があったりして、最初は、マシンを使う方は多くありませんでした。
そこで、自重トレーニングだけでは効果に限界があることをご説明し、まずはやってみましょうと提案。「初めて使うのだから、うまくできなくても当たり前」とお伝えして不安を取り除き、徐々に使っていただきました。今では会員さん同士で「一緒にマシンもやって行かない?」と誘い合ったり、新しく入会した方に使い方をアドバイスしてくださったりと、コミュニケーションも生まれています。
大友:こういった現場のアイデアは、髙𣘺をはじめとしたスタッフ主導です。健康運動実践指導者の資格は髙𣘺のみ保持していますが、アスリートも実践している体幹トレーニング「KOBA☆トレ」のライセンスは、トレーニングに関わるすべてのスタッフが取得しています。
髙𣘺:健康運動実践指導者の資格取得に向けて勉強したことで、効果的なトレーニング方法について理解が深まり、きちんと理論立てて会員さんに説明できるようになりました。時間がある時は、他のスタッフにもテキストを読んでもらったり、みんなで知識を共有したりしています。
大友:広告宣伝に関しては、やはり治療院は医療法による制限があるので、フィットネスのほうが、自由度が高くていろいろ実践しやすいですね。チラシや新聞広告などさまざまな広告を試してきましたが、やはり会員さんからの紹介や口コミが一番効果的かもしれないと感じています。
大友:メディカルフィットネス施設を開業して約2年、「運動療法処方箋」(以下、運動処方箋)をできるだけ多くの医療機関に発行していただく、という課題に対して、積極的に取り組んでいます。
運動処方箋は、生活習慣病など対象となる疾患の予防や治療を目的として、会員さんのかかりつけ医か、指定運動療法施設の提携医療機関の医師が発行できます。フィットネスでの運動療法の費用は、医療費控除の対象となります。
運動処方箋を発行するメリットは、会員さんの税負担が減ることです。私たちのような指定運動療法施設と医療機関には直接的なメリットはありませんが、会員さんに有益であることは間違いありません。運動を継続するモチベーションにもなるでしょう。しかし、なかなかこの仕組み自体が医師に周知されておらず、医療機関によっては発行いただけないのが現実です。
髙𣘺:そこで私たちは、運動処方箋の発行をお願いしたい先生1人ひとりに宛てて、手紙を書いてお渡ししています。まずは運動処方箋の概要を理解していただくことが大切なので、分かりやすいプリントや処方箋のサンプルも作って同封しています。
その結果、手紙を出した半分以上の先生方が運動処方箋を書いてくださったり、詳しく話を聞きたいと連絡をくださったりしました。同じ疾患、同じ条件の会員さんでも、医療機関が異なると発行されない、つまり医療費控除のメリットを受けられないという現状を、これから出来るだけ公平にしたいと思っています。
大友:先日、提携病院の先生方と集まって意見交換をし、運動処方箋がもっと多くの医療機関の方に認知され、ご理解いただけるよう、協力していくことを再確認しました。
大友:おかげさまで多くの会員さんに利用していただいているのですが、よりきめ細やかなサービスを提供し、さらに多くの会員さんを受け入れるには、人手不足が否めません。これが次の課題です。さまざまな費用が高騰している今、スタッフを増やすにしても、ある程度の増収が見込めないと厳しいのが正直なところです。
治療院2箇所、フィットネス1箇所、合計3つの施設を運営していますが、限られた人員でやりくりするため、治療院の施術予約を調整したり、フィットネスの体験利用を完全予約制にしたりと運営方法を見直しています。
収支面ですと、初年度は初期投資が大きかったのもありなかなか大変でしたが、3年目の現在は落ち着いてきて、グループ全体で見てもプラスに転じています。接骨院の売り上げはその時の患者さんの来院数によりますし、天候にも左右されるので見通しにくいという問題があります。しかし、フィットネスは月額制なので、売り上げ予測を立てやすい点がメリットだと感じています。
とは言え、ここまで来るのに、小さな節約も積み重ねてきました。洗濯の柔軟剤など消耗品を見直す、高価なものは本当に必要でなければ買わない…1つひとつ無駄をなくしてきましたが、電気代が一気に値上がりしたのは痛手でした(苦笑)。
大友:柔道整復師にとって、メディカルフィットネスの開業はチャンスだと思います。保険施術だけでは経営的に厳しい中どうやって事業を成り立たせていくか考えたときに、メディカルフィットネスは社会貢献につながる、ある意味“王道”の生き方だと思います。
もちろん、すぐには収益に結びつかないかもしれませんし、困難なこともあります。私が実際に運営して思うのは、基本的なことですが、やはり「人との繋がり」が一番大事だということ。これまで約20年、焼津で接骨院を経営してきた積み重ねがあったから、大勢の方が協力してくれました。何の土台もなくいきなり開業していたら、厳しかったのではないかと思います。
「ペガフィット」と「おおとも接骨院」について語ってくれた大友氏(左)と髙𣘺氏(右)
また、柔道整復師をしていると「この患者さんは内科疾患があるかもしれない」と、不安に思う場面があると思います。そんな時、もしメディカルフィットネスによって協力関係を築いた内科の先生がいれば、そこへ紹介できる。医師のネットワークを通じて「あの接骨院なら信頼できる」「うちの患者さんが、あのメディカルフィットネスで運動している」と広がっていき、まだ面識のない医師からも協力を得られるようになる。そういった好循環も生まれます。
メディカルフィットネスナビは、二人三脚で開業をサポートします
髙𣘺:私が日々感じているのは「聞くこと」の大切さです。私たちスタッフは会員さんや院長、仲間の意見を聞いて、院長も医療機関や関係者の皆さんの声を聞いて、現在の課題やメディカルフィットネスを通じて解決できることがないか、知ろうとしています。「分からないから」で止まっていたら進みません。何においても「聞く」姿勢が大事だと思います。
大友:メディカルフィットネスの開業を考えている皆さんの多くも、それぞれの業界で築いてきた繋がりをお持ちだと思います。その繋がりを活かして意見を聞き、地域全体で健康増進を図るという熱意が大切かもしれません。
2022年4月に「健康増進施設」の認定規定が改正されるなど、メディカルフィットネスの分野は徐々に裾野が広がってきています。しかし、大友氏の話にもあるように、健康増進施設・指定運動療法施設、そして運動処方箋についての医師の方々の認知度はまだまだ低く、利用者にも不公平が生じているなど課題もあります。
国全体として予防医学に力を入れている現在、行政、医療などの関係機関が一体となって共通認識を持ち、どの自治体、どの医療機関、どの施設でも地域住民が公平にサービスを受けて健康を維持できる体制になることを切に望みます。その連携が取れているモデルケースとして、今回お話を伺ったペガフィットの取り組みがメディカルフィットネスに関心を持つ皆さまの参考になれば幸いです。
施設名 | メディカルフィットネス ペガフィット |
---|---|
施設url | https://pegafit.jp/ |
運営元 | 大友メディカル |
都道府県 | 静岡県 |
市区町村 | 焼津市 |
開業時期 | 2022年8月 |
健康増進施設認定有無 | あり |
指定運動療法施設有無 | あり |
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