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2024.08.30
このような方におすすめ 主な対象施設 厚生労働大臣認定 健康増進施設、厚生労働省指定 指定運動療法施設、医療機関、医療法42条施設、メディカルフィ…
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現在、日本のどの自治体においても医療費や介護費の抑制は大変重要な課題です。自治体ごとに健康寿命の延伸やスポーツの意識の向上による活気ある地域社会を目指し、様々な取り組みが実施されているかと思います。
多くの自治体が取り組んでいる健康推進事業の中には、健康的な生活習慣を確立する知識・技術を習得するための健康教育や、身体機能の低下抑制のために行う機能訓練などが含まれています。(※1)こうした健康教育や機能訓練は、医療的要素を取り入れたメディカルフィットネス施設と、とても相性が良いと考えられます。
自治体がメディカルフィットネス施設を導入する場合、予算(費用)の検討が必須です。本記事では、自治体の皆様が地域の健康推進事業の拠点となりうるメディカルフィットネス施設の導入を検討される場合の予算(費用)についてひとつの考え方を述べていきます。
※1 厚生労働省 健康増進事業実施要領
自治体が運営する運動施設の多くは、2つの問題を抱えています。1つは、自治体が運営する運動施設も含めたフィットネス業界の圧倒的な人材不足です。
フィットネスクラブは年々増加傾向にあり、2013年のフィットネスクラブ数は6,014件、フィットネスクラブ会員数は794万人でしたが、5年後の2018年にはフィットネスクラブ数が7,038件、フィットネスクラブ会員数は990万人まで増加しています。(※2)
しかし文部科学省が管轄する日本スポーツ協会公認の、スポーツプログラマー・フィットネストレーナー・ジュニアスポーツ指導員といったフィットネス資格の有資格者の登録状況を見ると、2013年は10,879名、2018年は8,252名と減少しています。(※3 ※4)
メディカルフィットネス施設が厚生労働大臣認定 健康増進施設・厚生労働省指定 指定運動療法施設を取得するためには健康運動指導士や健康運動実践指導者の配置が求められています。2009年1月時点での健康運動指導士は13,208名・健康運動実践指導者は25,545名で、2020年10月には健康運動指導士は18,294名、健康運動実践指導者は19,003名です。健康運動指導士は38.5%増加していますが健康運動実践指導者は25.6%減少しており、合計で3.7%の減少が見られます。(※5 ※6)
このような有資格者が、全員フィットネスクラブで指導にあたっているわけではないため、フィットネスクラブで実際に指導にあたっている有資格者は、上記の数字からは更に少ないでしょう。
問題の2つ目は、運動施設を運営するために必要な費用面です。
(ここでは、自治体が運営する運動施設において、指定管理制度を採用し、民間企業が管理を担っている場合について述べています)
指定管理者は、各自治体による限られた予算の中で運営するケースがほとんどです。そのなかで有資格者を多数採用することは費用面での負担が増えてしまいます。有資格者の雇用などの人的コストをかけることばかりでなく、新たなコンテンツを創出し、質の高いサービスの提供を目指すことも難しいのではないでしょうか。
※2 Fitness Business 日・米・英の民間フィットネスクラブ産業市場データ (2018年)
※3 公益財団法人 日本スポーツ協会 スポーツ指導者に関するデータ スポーツ指導者登録者数(平成25年10月1日付)
※4 公益財団法人 日本スポーツ協会 スポーツ指導者に関するデータ スポーツ指導者登録者数(平成30年10月1日付)
※5 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団 健康運動指導士・健康運動実践指導者登録状況(令和2年10月1日現在)
※6 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団 健康運動指導士・健康運動実践指導者実態調査結果報告書(2019年)
自治体が運営する運動施設の指定管理者の多くは、毎年計上される予算内で事業を行い、数年ごとの入札により採択されます。
指定管理者は予算の枠組みの中で運動施設の運営を行いますが、運動施設で上げた予算外の利益については自治体へ返還しなければなりません。そのため指定管理者は、予算の枠の中でサービスを提供することになり、有資格者や経験者などの優れた人材の雇用や、質の高いサービスを提供することにより、収益を上げていくことは難しいのが現状です。
本来であれば安価な施設利用料ということだけではなく質の高いサービスや運動を提供することによって、地域の方々に運動施設をより多く、継続して利用していただくことができるのではないでしょうか。
人材不足と費用面の2つの問題を解決することにより、自治体の健康推進事業は地域の健康課題を解決するためのより良い事業となるはずです。
そこで、上記の問題を解決する方法のひとつに、運動施設の運営を自治体と民間事業者が協働し、民間事業者が数年後に自走化(自治体からの資金に頼らないで運営)することを前提とした取り組みがあります。
このスキームを採用すると、運動施設は予算の枠組みを超えた、より質の高いサービスの提供が可能になります。
たとえば、専門的な運動指導の提供、運動施設の利用者増、利用者の運動の継続などから地域住民の健康づくりにより貢献することが期待できます。
民間事業者にとって、運動施設の利用者が増えることは利益の増加に繋がります。増えた利益をスタッフやサービスに還元することでより質の高いサービスの提供ができる、といった好循環が生まれ、地域に根差した意義ある事業として、さらに成長してく可能性を秘めています。
では、どのようにこの仕組みが取り入れられるのでしょうか。
例
運動施設の立ち上げ時に、事業者の大きな負担になる運動機器や備品等のコストや人件費を自治体が補助することで、事業を軌道に乗せます。4年目からは自治体は事業費の一部負担のみ(自治体により異なる)で事業者はほぼ自走化するという考え方です。当初3年間の運営で得た収益は、自走化の際に必要な費用や人材の雇用・育成のほか、給与や賞与として運動施設の運営に還元します。
この仕組みは、専門的な人材の雇用や人材育成、質の高いサービス提供やマーケティングなどへコストをかけることができ、さらに利用者を増やし、地域の方々により質の高いサービスを提供する運動施設を創り上げることが可能になります。
自治体の予算には様々な交付金・助成金・補助金などがあり、これらの予算の活用方法も含めて自治体と民間事業者が協議することも大切です。自治体の健康課題および社会的課題を解決するための取り組みや、効果測定が可能な事業にすることも求められてくるでしょう。
加えて、地域の雇用創出と継続雇用、人材の育成といった大切な役割も果たしていく必要があります。
自治体と事業者が協働して運動施設を運営することは、地域の健康課題・社会的課題の解決に繋がります。更に数年後の自走化を見据えて収益を上げながら地域人材の新規雇用、地域のスポーツ・フィットネス人材の育成を図りうる事業モデルとして構築することが重要なのです。
※参考事例
岩手県矢巾町との協働事業 ウェルベース矢巾
山形県村山市との協働事業 山形県立楯岡高校跡地活用プロジェクト
自治体型運動施設の従来からの運営の手法(指定管理制度)にはメリットもあり、多くの自治体で取り入れられています。しかし、それでは自治体の課題を解決することが困難な時代になってきています。自治体が民間事業者と協働して、民間事業者が得る利益を、運動施設のサービスの質を高めることや地域人材の雇用、人材教育に還元し、持続可能な好循環を創り上げることが、地域の健康課題・社会的課題を解決するひとつの方法になるのではないでしょうか。
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