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奈良県にある医療法人和幸会 阪奈中央病院が運営する、MediTAS ZeloFit(メディタス ゼロフィット)。2014年にメディカルフィットネス事業に新規参入した同法人は、“病院が運営している”という先入観を覆すようなフィットネスプログラム、設備、サービスを提供し、会員数を伸ばしています。今回は、MediTAS ZeloFit責任者の栗岡久暢医師に、事業参入に対する考えや、メディカルフィットネス事業運営のメリットなどをお聞きしました。
MediTAS ZeloFit責任者。医療法人和幸会 阪奈中央病院副院長 、脳神経外科医。おもに脳卒中や頭部外傷による開頭手術を含む救急治療から、在宅療養中の方の投薬加療等まで地域医療を担う。
<保有資格>
日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、日本リハビリテーション医学会認定医、麻酔科標榜医、日本医師会健康スポーツ医、日本体育協会スポーツドクター、日本医師会認定産業医、臨床研修指導医、義肢装具等適合判定医、等。
日本人の4大死因は、癌、心筋梗塞、脳卒中、肺炎と言われています。これらは、死亡するだけでなく、寝たきりの原因にもなるADL(日常生活動作)の低下や、QOL(生活の質)を下げる病気としても、重視されています。
脳卒中や心筋梗塞の原因となる生活習慣病やメタボリックシンドロームは、運動習慣の改善などで予防できます。しかし、それだけではなく、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤や、各種悪性腫瘍の早期発見・早期治療によっても、健康寿命の延伸を目的としているのが、MediTAS ZeloFit(メディタス ゼロフィット)です。
会員であれば運営元である医療法人の病院にて各種検査を特別価格で受けられるなど、さまざまな工夫を凝らして会員数を伸ばしています。
施設名:MediTAS ZeloFit(メディタス ゼロフィット)
運営元:医療法人和幸会 阪奈中央病院
運営コンセプト:健康寿命の延伸
所在地:奈良県生駒市
開業:2014年4月
広さ:952m2
医療法42条施設(疾病予防運動施設):○
健康増進施設認定:○
指定運動療法施設:○
私たち医師は、脳卒中で倒れて生死をさまよう状態で搬送されてくる患者様に、緊急治療を行います。治療の甲斐あって命を救えても、手足の運動マヒや、嚥下障害、寝たきりなど何らかの後遺症が残る患者様、また不幸にして命を救えなかった患者様も多く診てきました。そういった経験から、「その患者様が倒れる前、元気な時に出会っていれば、発症を予防できたかもしれない」と、何度も思いました。
特に後遺症は、生活習慣の改善次第で回復しやすい血圧や血糖、コレステロールなどと違い、リハビリを続けてもなかなか治りません。リハビリで回復された方は、脳内の発症箇所が幸いにも回復しやすい所だったと考えています。後遺症、つまり障害を抱えて生きていくには困難がたくさんあります。私も時には、「先生、なぜあの時治療したんですか?死んだほうがよかった」と言われることがありました。
脳卒中の原因の多くは、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙や飲酒等の生活習慣です。高血圧や脂質異常症、糖尿病は、薬を投与するだけが治療ではなく、生活習慣の改善も治療につながります。予防医学です。このことを多くの方に知っていただきたい、後遺症に苦しむ方を少しでも減らしたいと思い、メディカルフィットネス事業を立ち上げることにしました。
運動だけでは癌は予防できず、早期発見・早期治療により治すことが特に重要です。MediTAS ZeloFit会員様には、阪奈中央病院にて人間ドックを特別料金で受けていただくことを考えました。例えば、人間ドッグにより胃や大腸の早期癌が見つかれば、内視鏡手術だけで根治が可能な場合もあります。
どうしても、病院が提供する運動=リハビリ=高齢者=簡単な体操だけ……と連想するためか、一般のフィットネスクラブと比べて会員様が集まらないのでは、という懸念がありました。そこで当施設は病院のイメージを払拭できるよう、フィットネスプログラムの内容や建物の内装にこだわりました。
様々な施設のホームページを見て情報収集をしました。また、フィットネスプログラムなどソフト面は国内の施設を見学して、ホットヨガ、ピラティス、エアロビクスダンスなど、一般の方も行ってみたいと思える内容を取り入れました。
イタリアやスペイン、オランダなどヨーロッパのおしゃれな施設を実際に見学して、デザインの参考にしました。施工自体は建築業者にお願いしましたが、設計、デザイン、床、壁、天井、各機器、さまざまなパーツなどの選定は、ほぼすべて私自身が手掛けました。特に、天井吊り下げ可動式のサンドバック10本、イタリアのメーカー・テクノジム社によるデザイン性の高いトレーニングマシンがポイントです。トレーニングマシンに関しては、実際にテクノジム社の本社工場にも見学に行き、現地の方から説明を受けて、納得の上で購入しました。
そのほか、関西でも特に大規模なホットヨガスタジオを設置したり、会員様ごとに運動履歴を自動記録できるウェルネスシステムを導入したりするなど、会員様がモチベーションを維持しながら運動を続けられる工夫を散りばめました。セキュリティーも会員様以外は入場できないようにするなど、万全にしております。
私が伝えたいことが、実際にいらっしゃる会員様にうまく伝えられないことです。先ほど、病院のイメージを持たせないよう、ヨガやダンスなどを取り入れたとお話ししましたが、そういうプログラムを目的とする方は、必ずしも病気を気にしているとは限りません。むしろ健康に自信があり、病に倒れるのは他人事という方も少なくないです。ですから、健康寿命や早期癌発見の意義などをしっかり伝えることが難しいと感じました。
実際に、脳卒中の早期治療につながった事例があったことです。
当施設で運動中に脳卒中を発症された会員様がいらしたのですが、発症からわずか30分後には運営元である阪奈中央病院にて、脳神経外科の専門医である私が治療を開始することができました。当施設を開業以来、何人か同様の会員様がいらっしゃいましたが、幸いにも、皆さん後遺症もなく元気に過ごされています。
また、くも膜下出血の原因である脳動脈瘤の破裂を防いだケースもあります。その会員様は脳動脈瘤の急性増大により目に症状が出ており、眼科には通っていたのですが脳動脈瘤の診断には至らず過ごしていました。ある日、当施設で配布していた「人間ドッグMRI優待チケット」を自主的に利用したところ、正しい診断につながり、破裂一歩手前で治療ができたのです。手術せずに治す脳血管内治療で完治し、後遺症もなく過ごしていらっしゃいます。
そのほか、運動の継続により、皮下脂肪や内臓脂肪がデータから見ても明らかに減少している方がいたり、当施設を気に入っていただいた方が新規会員をご紹介してくださることが増えていたり、というのもうれしいです。おかげさまで、会員数は徐々に増えております。
病院の患者様が、それぞれの状態に合わせてトレーニングできるよう、メディカルフィットネス施設としてサポートしています。例えば脳卒中後の後遺症に合わせたトレーニング、怪我をしたアスリートの術後の訓練、高血圧・脂質異常症・糖尿病など内科的疾患により運動処方箋を出されている方の個別プログラムなどです。運動を必要とする入院患者様の退院後支援を行っています。
メディカルフィットネス施設の視点から見ると、やはり運営元が病院であり建物も隣接しているので、何かあったときにすぐ対応ができることです。先の事例では、MediTAS ZeloFitのスタッフも迅速に状況把握をして対応できたという点も大きいと思います。これは運営母体が病院でないと、なかなか難しいかもしれません。また、病院の患者様が会員様になってくださったり、予防医学に関して病院から確かな情報を提供できたりすることもメリットと言えます。
病院側の視点で見ると、退院後や通院中の患者様にきめ細やかな運動による支援ができることです。適切な運動習慣や運動方法を身につけることで、より健康で生き生きとした生活が送れると考えます。
「医療法42条施設(疾病予防運動施設)」であるため、医療法人としての収益業務が認められていることは経営面で大きなメリットです。また、「指定運動療法施設」の指定を受けているため、医師の指示により当施設で運動療法を行う会員様は、利用料が医療費控除の対象になります。会員様にとっては、安心して通っていただけることに加えて、経済的負担の軽減にもつながるため、厚生労働省による健康増進施設・指定運動療法施設の認定・指定は取得したほうが良いと思います。
参入検討の際に、黒字化はもちろん利益率や配当など、ビジネスとして成功するか悩む方が多いと思います。確かに利益は大事ですが、純粋な医療従事者であれば、参入を考える契機になった大きな想いがあるのではないでしょうか。私の場合は、きっかけは予防医学を広く浸透させることでした。ですからビジネスのプロから見ると、正直、経営面で指摘したい点もあるかもしれません。しかしMediTAS ZeloFit は、結果的に病院と密に連携していることで運営できており、地域医療にも貢献できていると考えています。コンセプトやご自身の理念を大事にすることが事業成功の秘訣だと思います。
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「健康寿命の延伸」がコンセプトのMediTAS ZeloFit。医療現場の最前線でシビアな現実に直面してきた栗岡医師だからこそ、その強い信念を以て、地域住民に愛される施設として成長してきたのではと思います。
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