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2024.11.12
メディカルフィットネス事業に注目したきっかけ 「大友メディカル」代表取締役社長・大友康広氏 大友:接骨院では基本的に、施術をして問題の箇所が治…
- #接骨院・整骨院
アスレティックトレーナーは、様々なスポーツの現場で選手を幅広くサポートする職業です。本記事では、アスレティックトレーナーとはどのような職業で、メディカルフィットネス施設においてどのような役割が期待できるのかをBP&CO.代表の大貫崇さんから伺いました。
Contents
2004年、タウソン大学運動学部アスレティックトレーニング学科を卒業。2006年フロリダ大学大学院で修士号を取得。2016年にBP&CO.を立ち上げる。
現在、BP&CO.代表、PRIジャパン教育コーディネーター、大阪大学医学系研究科健康スポーツ科学講座スポーツ医学教室特任研究員、Improve KYOTOアドバイザー、JATO (ジャパン・アスレティックトレーナーズ機構)理事を務める。資格取得はBOC-ATC、NSCA-CSCS、NASM-PES、MBSC認定CFSC、PRT。
アスレティックトレーナーは、主に「ATC」「JSPO-AT」「JATAC-ATC」に分類されます。
「AT」は広い意味でのアスレティックトレーナーを指す言葉で、「ATC」はアメリカでアスレティックトレーナーの認定を行っているBOCの国家試験に合格した、準医療者としてのアスレティックトレーナーを指します。「JSPO-AT」は公益財団法人日本スポーツ協会が認定するアスレティックトレーナーのことで、「JATAC-ATC」は特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会正会員のアスレティックトレーナーのことです。
どのアスレティックトレーナーでも、スポーツ現場で怪我が発生した時に、怪我の程度の評価をしたり、応急処置をしたりできる資格です。
怪我をした人の状態を見て応急処置を行うほか、救急車を呼ぶかどうかや医師の診察が必要かどうかを判断すること、テーピング施術、傷害予防のための認知活動などもアスレティックトレーナーの仕事です。
日本でアスレティックトレーナーの資格を取得する場合、公益財団法人日本スポーツ協会のJSPO-ATまたは特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会のJATAC-ATのいずれかを取得することになります。
JSPO-ATの取得のためには公益財団法人日本スポーツ協会が実施する講習会の受講と検定試験の受験をする必要があります。
講習会の受講には、満20歳以上であることや、JSPO、JSPO加盟団体などから推薦を受けていることなどの条件があります。
講習会のカリキュラムは共通科目として医学・科学的知識や現場・環境に応じたコーチングを学び、専門科目として障害・外傷の基礎知識やアスレティックリハビリテーションなどを学習するほか、180時間の現場実習が必要となっています。
共通科目と専門科目を合わせて、全カリキュラムを修了するには750時間掛かります。
また、日本スポーツ協会が承認する専門学校・大学などで講習会と同一のカリキュラムを履修することにより、講習会受講を免除の上で検定受験をすることも可能です。(令和2年度の免除適応承認校の一覧)
※詳しくは公益財団法人日本スポーツ協会ホームページをご確認ください。
JATAC-ATの資格要件には、柔道整復師や理学療法士、薬剤師などの資格や、大学・大学院でスポーツ科学分野の単位を取得していることも必要です。
資格要件を満たしている場合、JATAC本部または関連団体が主催する研修会に参加する、または通信教育講座を最大10科目受講することで登録ができます。
JATAC-ATは5年ごとに資格の更新があり、活動実践報告や研修会への参加が必要です。
※詳しくはジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会ホームページをご確認ください。
最近では、プロスポーツチームの現場や大学などでアスレティックトレーナーを雇用することが増えています。また、さまざまな競技スポーツの全国大会への帯同を行うこともあります。
公益財団法人日本スポーツ協会が2018年に実施した調査によると、アスレティックトレーナーとしての働き方のうち、最も多いのはパートタイムで、アスレティックトレーナーとして働いて得られる年収は100万円以下という結果が出ています。(※1)
2020年10月時点で公益財団法人日本スポーツ協会公認のアスレティックトレーナーは全国に4,331名います。2012年10月が1,861名だったことを考えるとアスレティックトレーナーは増加傾向ですが、アスレティックトレーナーの受け入れ先となるプロスポーツチームはそれほど多くない印象です。また、プロスポーツチーム以外の雇用先も増えてはきていますが、多くないと感じます。(※2 3)
また、アスレティックトレーナーの12.9%以上がアスレティックトレーナーの活動をボランティアとして無償で行っているという現状もあります
このように、現在のアスレティックトレーナーは、副業やボランティアとして活動を行っている方がほとんどであるという問題があります。
※1 公益財団法人日本スポーツ協会 第一回 日本のトレーナー実態調査 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)版 報告書(2018年)
※2 公益財団法人 日本スポーツ協会 日本スポーツ協会公認スポーツ指導者登録状況(2020年10月)
※3 公益財団法人 日本体育協会 日本体育協会公認スポーツ指導者登録状況(2012年10月)
そうなんです。U.S. Bureau of Labor Statistics(米国労働統計局)によると、2019年にアメリカで勤務するアスレティックトレーナー(ATC)の平均年収は50,540ドル、日本円に換算すると545万円なのです。(※4)
収入面で大きな差がついている日本とアメリカのアスレティックトレーナーですが、資格の取得方法等も違います。
日本のアスレティックトレーナー(JSPO-AT)は大学だけでなく専門学校でも資格を取得することができますが、アメリカのアスレティックトレーナー(ATC)は大学または大学院でアスレティックトレーニング教育プログラムを受講した上で学士号または修士号を取得後、BOCが実施する試験に合格する必要があります。(※5)
2022年までには認定カリキュラムが修士号に移行するほか、資格取得後も更新が必要です。
このように、アメリカではATC資格は日本のアスレティックトレーナー資格よりも取得・継続が難しく、資格を持つ人には多くの活躍の場が用意されています。
Occupational Employment Statisticsの統計データでは、病院で勤務するアスレティックトレーナーが20%以上、大学や専門学校が19.3%、日本でほとんど見られない、小学校や中学校で活動・勤務するアスレティックトレーナーも10.8%(3,110名)いることが分かります。(※4)
アメリカでは私立なら中学校から、公立でも高校から、学校にアスレティックトレーナーが配属されている場合が多く、アスレティックトレーナーにはATルームという怪我のケアやリハビリを行う部屋が割り当てられます。アスレティックトレーナーが怪我の現場へ向かうだけでなく、生徒や職員がATルームに出向くこともあり、更にテーピングの授業などを行うこともあります。
同じアスレティックトレーナーですが日本では民間資格で、アメリカでは看護師や理学療法士などと同じ準医療従事者の資格です。
そのため、資格の取得方法や取得後の活躍の場にも大きな差が出ているのです。
※4 U.S. Bureau of Labor Statistics Occupational Employment and Wages, May 2019 Athletic Trainers(2019)
※5 National Athletic Trainers’ Association Obtain Certification(2021)
お伝えしたように、アメリカでは多くの現場でアスレティックトレーナーが活躍しています。私は、日本でももっとアスレティックトレーナーのスキルを活かせる場所や仕事を増やせるはずだと思っています。その一つとして、メディカルフィットネス施設は、アスレティックトレーナーが大活躍できるのではないかと考えています。
医療的要素を取り入れたフィットネスであるメディカルフィットネスでは、健康増進を目指す方だけでなく、基礎疾患がある方や傷病を抱えながらも運動を必要としている方などが利用されます。
そのため、メディカルフィットネスでは医療的な知識を広く持ち、救急処置やトレーニングに当たることができる人材が必要であると思います。
アスレティックトレーナーは、医師などのメディカルフィットネス内外の専門家とコミュニケートし、利用者を正しい方向に導くコーディネートができることが大きな特徴です。専門家へ繋ぐことができるアスレティックトレーナーだからこそ、メディカルフィットネスを利用される方の問題解決に貢献できるはずです。
メディカルフィットネスが厚生労働大臣の認定(健康運動増進施設・指定運動療法施設)を取るためには、健康運動指導士・健康運動実践指導者の配置が必要です。医師の診断を受けて健康プログラムを作成、実践指導する健康運動指導士・健康運動実践指導者に対し、アスレティックトレーナーは利用者の皆様の体の悩みを聞き取り、医師の診察を受けていただくかどうかを判断するような働き方ができるのではないかと思います。
他にも、痛みはあるけれど、病院に行くほどかどうかは分からない、基礎疾患はあるけれど、この運動はしたい、といった悩みの解消にもアスレティックトレーナーは役に立つはずです。
メディカルフィットネスでアスレティックトレーナーを積極的に雇用するようになると、国内のアスレティックトレーナーが抱える雇用先や年収の少なさなどの問題を解消する一助にもなるのではないでしょうか。
障害予防の認知活動も行っているアスレティックトレーナーであれば、メディカルフィットネス施設の利用者に正しい知識をつけていただく意味でも非常に有用であると語った大貫氏。
医療に関して広く知識を持つアスレティックトレーナーの傷病に対応する能力はメディカルフィットネスに非常にマッチするのだと感じました。
メディカルフィットネス施設の開業を検討されている医療機関、その法人の方が、既にメディカルフィットネス施設を運営されている方には、アスレティックトレーナーの積極的な雇用・活用をおすすめします。
メディカルフィットネスナビでは、メディカルフィットネス施設でのアスレティックトレーナーの活躍について、これからも様々な角度から取り上げていきます。
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